幼児期の子どもとの遊びについて、多くの親が悩みを抱えています。遊びは子どもの成長にとって非常に重要ですが、親にとっては負担に感じることも少なくありません。ここでは、遊びについてよくある悩みとその解決策について、子どもの発達の専門家の視点から助言します。
1. 遊びのレパートリーが少ない
「毎日同じ遊びばかりで飽きてしまう」「新しい遊びのアイデアが浮かばない」と感じる親は多いです。
解決策:日常生活を遊びに変える 特別な遊びを考えなくても、日常生活の中で子どもが楽しめる要素を見つけましょう。例えば、料理をするときに野菜の名前当てクイズをする、洗濯物を一緒にたたむ、買い物ごっこをするなど、生活の一部を遊びにすることで自然とレパートリーが広がります。
また、遊びのアイデアを増やすために、育児書、絵本やインターネットの情報を参考にするのも良い方法です。他の親との情報交換や幼稚園・保育所の先生との会話も遊びの幅を広げる助けになります。
2. 子どもがすぐに飽きてしまう
せっかく考えた遊びでも、子どもがすぐに飽きてしまい、長続きしないと悩むことがあります。
解決策:遊びにバリエーションを持たせる 子どもが飽きてしまうのは、遊び方が単調だからかもしれません。例えば、おままごとも「レストランごっこ」や「お店屋さんごっこ」に発展させたり、ブロック遊びを「設計図を作ってから組み立てる」などのルールを追加することで、興味を持ち続けやすくなります。
また、同じ遊びでも道具や環境を変えるだけで新鮮に感じることがあります。例えば、家の中でかくれんぼをするのではなく、公園でやると違った楽しみ方が生まれます。
3. 遊びに付き合うのが疲れる
「体力的にしんどい」「仕事や家事の合間で遊びに集中できない」といった悩みもあります。
解決策:親も無理をせず楽しめる方法を見つける 親が負担を感じると遊びが苦痛になりがちです。疲れているときは、親が主体的に動く遊びではなく、座って言葉がけをしつつ見守るような遊び(お絵かき、積み木、粘土遊び)を選ぶのも一つの方法です。
また、兄弟や他の子どもと遊ばせる機会を増やすことで、親が一対一で遊ばなくても済む環境を整えることも重要です。
4. 子どもの発達に良い遊びが分からない
「どんな遊びが知育にいいのか」「年齢に合った遊びを選べているか」が気になる親は多いです。
解決策:基本的な発達段階を意識する 幼児期の発達に良い遊びは、次のように年齢ごとに異なります。
- 1~2歳:感覚遊び(音の出るおもちゃ、水遊び、砂遊び)
- 2~3歳:模倣遊び(おままごと、ぬいぐるみとの会話)
- 3~4歳:創造遊び(お絵かき、積み木、簡単な工作)
- 5〜6歳:ルールのある遊び(簡単なカードゲーム、すごろく)
年齢や興味に応じた遊びを選ぶことで、子どもも自然に成長していきます。
5. 一人遊びが苦手で常に親を求める
「少しでも離れると呼ばれる」「親が遊び相手にならないと機嫌が悪くなる」など、一人で遊ぶ時間を持たせるのが難しいと感じることも。
解決策:徐々に一人遊びの時間を増やす 最初から「一人で遊びなさい」と言うのではなく(はじめから一人で遊べる子はいません)、「5分だけ一人で遊んでみよう」と短い時間からスタートするのがポイントです。
また、最初は親がそばで見守りながら「お母さんはちょっとお料理するね。○○ちゃんはこのブロックで遊んでてね」と声をかけ、徐々に距離を取るようにすると、子どもも安心して一人遊びができるようになります。
6. スマホ・テレビなどに頼りすぎてしまう
ワンオペで自分だけが家事育児をしなければならない時に、「つい動画やゲームに頼ってしまう」「良くないと分かっていても、他に方法がなくて…」と葛藤するケースもあります。
解決策:デジタルメディアとのバランスを取る スマホやテレビを完全に禁止するのではなく、「視聴時間を決める」「親子で一緒に見る時間を作る」などのルールを決めることが重要です。
また、デジタルメディア以外の楽しい遊びを増やすことで、自然と画面時間を減らすことができます。例えば、「1時間テレビを見たら、次は外で遊ぼう」などの流れを作るのも有効です。
7. 他の子どもと比べてしまう
「他の子は楽しそうに遊んでいるのに、うちの子は興味を示さない」「運動系の遊びが苦手」など、他の子どもと比較して悩むこともあります。
解決策:子どもの個性を尊重する 他の子どもと比べてしまうのは親として自然なことですが、子どもは一人ひとり個性が違います。たとえば、運動が得意でない子でも、創造力が豊かだったり、集中力が高かったりすることがあります。
大切なのは、子どもの得意なこと、好きなことを見つけて伸ばしてあげること。周りと比べるのではなく、「昨日できなかったことが今日はできるようになった」と、子ども自身の成長に目を向けるようにすると、ポジティブな関わりができます。
まとめ
子どもとの遊びについて悩むのは、それだけ親が子どものことを大切に思っている証拠です。しかし、親が負担を感じすぎると、遊びが義務のようになり、楽しさが失われてしまいます。
無理をせず、親自身も楽しめる遊びを見つけることが大切です。そして、遊びは子どもの発達に役立つだけでなく、親子の絆を深める大切な時間でもあります。肩の力を抜いて、子どもとの遊びを楽しんでみてくださいね。