日常の中で、子どもに「何度言っても伝わらない」「どうしてできないの?」と感じることはありませんか?

それは、もしかすると「子どもができない」のではなく「大人の声がけが子どもに合っていない」可能性があります。今回は、幼児期の子どもに適した声がけについて考えてみましょう。


子どもにとって難しい大人の声がけとは?

ことばの発達は個人差が大きいですが、一般的に3歳頃から語彙が爆発的に増え、会話が成り立つようになります。しかし、言葉の理解力や記憶力、集中力はまだ発展途上のため、大人が意識して声がけをしないと、子どもには「伝わらない」ことが多くなります。

たとえば、こんな声がけをしていませんか?

1. 指示が長すぎる、やることを一度にたくさん伝える

例:「おもちゃを片付けてから、お着替えして、トイレに行ってね!」

→ 大人には簡単な指示でも、幼児には覚えきれません。一つずつ伝えることが大切です。

【工夫】 「おもちゃを片付けようね」(片付けが終わったら) 「じゃあ、お着替えしようか」 と段階的に伝えましょう。

2. 話すスピードが速すぎる

大人の普通のスピードが、子どもにとっては速すぎることがあります。

【工夫】 子どもに話すときは、意識してゆっくり、はっきり話しましょう。

3. 言葉だけで説明する

子どもの中には、言葉だけでは理解しにくい子もいます。

【工夫】 ・ジェスチャーをつける ・実際にやってみせる ・絵や写真を見せる

たとえば、折り紙をするなら「折る前に完成形を見せる」ことで、ゴールがイメージしやすくなります。

4. 幼児語を使い続ける

「しゅき(好き)」「ブーブー(車)」などの幼児語を、大人が5~6歳の子どもに対して使ってしまうと、正しい発音を覚えるのが遅れることもあります。

【工夫】 子どもの発音がまだ未熟でも、大人はできるだけ正しい言葉で話しましょう。


子どもに伝わる声がけのコツ

では、どのように声をかけたら子どもに伝わるのでしょうか?

1. 短く、わかりやすく伝える

子どもが3語文(「ママ、これ、ちょうだい」など)を話しているなら、大人も3語文くらいで話すと理解しやすくなります。

例:「おもちゃ、なおそうね」「手、洗おうね」

2. 一つずつ指示を出す

「次に何をするのか」を一つずつ伝え、できたら次のことを伝えましょう。

例:「靴をぬごうね」(できたら)「じゃあ、靴をそろえてね」

3. 視覚的なサポートを活用する

・動作を一緒にやってみる ・イラストや写真を使う ・実物を見せる

4. ポジティブな言葉を使う

子どもは否定的な言葉より、肯定的な言葉のほうが受け入れやすいです。

✖「こぼさないで!」 〇「そーっと入れようね」

✖「走らないで!」 〇「ゆっくり歩こうね」

5. 「なんでできないの?」ではなく、「どう伝えたらわかるかな?」と考える

伝わらないときは、子どもが悪いのではなく、大人が「伝え方を工夫する」視点を持つことが大切です。

たとえば、 ✔ 言葉を減らす ✔ スピードを落とす ✔ 一緒にやってみる ✔ 繰り返し伝える

このようにアプローチを変えてみましょう。


まとめ

子どもへの声がけは「伝えた」ではなく「伝わったかどうか」が重要です。

☑ 指示は短く、1つずつ

☑ ゆっくり話す

☑ 言葉だけでなくジェスチャーや視覚情報を使う

☑ ポジティブな言葉を選ぶ ☑ 伝わらなかったら伝え方を変える

こうした工夫を取り入れることで、子どもとのコミュニケーションがスムーズになり、イライラも減るかもしれません。

「伝わらないのは、どうやったら伝わるか考えるチャンス」

だと思って、ぜひ、日常の声がけを見直してみてくださいね!