こんにちは。私は海外ドラマ(英米もの)が好きで、よく観ています。最近(2020年)ハマっているのは『SUITS(スーツ)』です。イギリス王室のサセックス公爵夫人となったメーガン・マークルがレギュラー出演していたことで話題になりました。最近知ったのですが、日本版や韓国版も制作されているんですね。

ルイス・リットとセラピーの重要性

このドラマは全9シーズンあり、見どころがとても多いのですが、特に5〜6シーズンあたりから、主人公ハーヴィー・スペクターと弁護士事務所の同僚ルイス・リットがセラピー(心理療法)を受ける場面に注目しています。

ルイスはシリーズ序盤から短気で、周囲に強烈な言動を撒き散らし、ハラスメントを頻繁に行う人物として描かれています。ハラスメントとは「悩ませる、困らせる、うるさがらせる、苦しめる、侵害する、略奪すること」という意味です。

彼は新人弁護士(アソシエイト)の教育係を担っていますが、自分の気に入らないことがあると、平気で八つ当たりし、罵詈雑言を浴びせます。観ているだけでもうんざりするほどで、「私だったら翌日には退職届を出しているだろうな」と思うほどでした。その影響でアソシエイトたちもなかなか定着せず、事務所の同僚からの評価も低迷していました。

そんなルイスですが、上司のジェシカに「このまま働き続けたいなら、セラピーに通いなさい」とたしなめられます。

ルイスの成長と変化

最初、ルイスは「私はセラピーなんか受ける必要はない!」と反発しますが、結局セラピストのもとへ通うことになります。方法は、対面と電話の併用でした。7シーズンか8シーズンかは忘れてしまいましたが、回想シーンで、彼が1週間に複数回のセラピーを7年以上続けていることが明らかになります。

彼は怒りのコントロールに苦しみ続けますが、セラピーを通じて少しずつ変化していきます。同僚のジェシカやドナ、グレッチェン、レイチェル、セラピストらの安定した態度に触れることで、次第に他者への優しさや思いやりを持てるようになりました。また、悪いと思ったら後からでも謝る、自分の弱さを見せる、皆と協力して仕事をするなど、人間的な成長が見られるようになります。

ルイスには幸せになってほしいと願わずにはいられません。

日本での職場ハラスメント対策

さて、現実の話になりますが、日本ではパワーハラスメント防止対策などハラスメント対策を強化するため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が第198回通常国会で成立し、令和元年6月5日に公布されました。これにより、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の一部が改正され、2020年6月1日から職場のハラスメント防止対策が強化されました。

しかし、ハラスメントが認められた後の加害者への教育や治療は対策に含まれていないのが現状です。これは非常に残念な点です。いつか、『SUITS』のジェシカのように「仕事を続けたかったら、セラピーに通いなさい!」と当たり前に言える社会になればいいなと思います。

男女問わず、すべての人が働きやすい職場環境が増えることを切に願います。

職場のハラスメント対策について

職場のハラスメント対策については、厚生労働省のホームページ(厚生労働省ハラスメント対策)に詳しい情報があります。

参考文献

  • 厚生労働省HP 明るい職場応援団
  • 『暴力・虐待・ハラスメント 人はなぜ暴力をふるうのか』藤本修 編著(ナカニシヤ出版, 2005)