「自分の気持ちがよくわからない」「どう表現したらいいのかわからない」と感じたことはありませんか?
私たちは日々、さまざまな感情を抱えながら生きています。嬉しいとき、悲しいとき、怒りを感じるとき、不安を抱えるとき――それぞれの感情には意味があり、私たちが自分自身を理解し、より良い人生を送るための大切なサインでもあります。


幼い頃に育まれる感情
基本の感情とは、人間が生まれつき持っている感情のことで、一般的に「喜び」「怒り」「悲しみ」「驚き」「恐れ」「嫌悪」の6つがあると言われています。これらの感情は幼児期後半にはほぼ出揃い、それ以降の人生でさまざまな形に発展していきます。
しかし、すべての人が感情をうまく扱えるわけではありません。
例えば、幼い頃に「泣かないの」「怒っちゃダメ」と言われて育った人は、悲しみや怒りを感じること自体を抑え込んでしまうことがあります。その結果、大人になっても「自分の気持ちがわからない」と感じたり、感情を適切に表現することが難しくなることがあります。
感情を理解し、扱う力を育てる
感情を適切に理解し表現する力は、成長の中で育まれるものです。
幼い頃、周囲の大人が子どもの感情に名前をつけて教えたり、「今、悲しいね」「びっくりしたね」と言葉にして伝えることで、子どもは自分の感情を認識しやすくなります。また、感情を抱え、向き合う経験を積むことで、「これは悲しみなんだ」「これは怒りなんだ」と心と体を通じて理解していきます。
しかし、もし感情を大切にされなかったり、無視される環境で育った場合、自分の感情を適切に表現することが難しくなることがあります。こうした背景があると、大人になっても「自分の気持ちがわからない」と感じやすくなるのです。
カウンセリングでの感情へのアプローチ
カウンセリングの場では、「自分の気持ちがよくわからない」と話される方も多くいます。そのようなとき、私はクライアントさんの語り口調や身振り手振り、表情から感情を推測し、次のように伝えることがあります。
- 「気持ちはもしかしたら〜〜だったのかなぁ?」
- 「私が同じような体験をしたとしたら、こう思うかもしれない」
すると、「あ、そうかもしれない」「いや、なんか違うな」と、自分の内側に意識を向けるきっかけになります。
カウンセラーとクライアントは別の人間です。感じ方や考え方が違っていて当然です。ですが、その違いを認め合いながら対話を続けることで、自分の感情への理解が深まっていきます。
感情と向き合うために
感情は、私たちが自分自身を大切にするための大切な手がかりです。無理に抑え込んだり、なかったことにするのではなく、少しずつでも向き合ってみることが大切です。
- どんな出来事が、どんな感情を引き起こすのか?
- その感情はどんなふうに体に表れるのか?
- どんな言葉で表現できるのか?
少しずつでも考えてみることで、感情を理解する力が育っていきます。
もし「自分の気持ちがわからない」と感じたときは、一人で抱え込まず、誰かに話してみるのも良いかもしれません。
カウンセリングでは、あなたの感情を整理し、向き合うお手伝いをします。
あなたの感情を大切にすることは、あなた自身を大切にすること。
どんなことでも、あなたの気持ちを聞かせてくださいね。