怒りの奥にある、本当の気持ちに気づいてあげよう
「また子どもに強く言ってしまった……」「パートナーに対してイライラが止まらない……」 そんなふうに、自分の“怒り”に後悔したことはありませんか?
怒りが湧くこと自体は、決して悪いことではありません。怒りは、私たちが自分の大切なものを守ろうとしているときに自然と出てくる感情です。でも、その表現が自分や他人を傷つけてしまうようなものであるとき、少し立ち止まって、その“怒りのゴール”を考えてみませんか?
怒りのゴールってなんだろう?
たとえば子どもがまた同じ失敗をしたとき、パートナーが約束を守ってくれなかったとき。あなたの中には「ちゃんとしてほしい」「気づいてほしい」という願いがあるのではないでしょうか?
つまり、“怒る”という行動の奥には、「相手に変わってほしい」「自分の気持ちをわかってほしい」といった目的があるんです。
でも実は、怒って伝えても、その目的が叶うとは限りません。
怒られても、なぜ怒られたのかわからない
カウンセリングでは、「怒っても、相手は変わってくれない」と悩む方が多くいらっしゃいます。特に子育て中の女性からは、「毎日同じことで怒ってばかりで疲れてしまう」という声をよく聞きます。
子どもに怒っても、行動が変わらない。それどころか、どうして怒られているのかが分からず、ただ萎縮してしまう……。そんな経験、心当たりはありませんか?
大人でも同じです。「責められている」と感じると、人はつい心を閉ざしてしまいます。
“怒らずに伝える”って、どうすればいいの?
怒りを感じたとき、「この怒りの奥には、どんな願いがあるのかな?」と、少しだけ立ち止まってみてください。
たとえば、子どもが宿題をやらずにテレビを見ている場面。怒鳴る前に、「ママはあなたの成長を応援している。だから頑張ってほしいと思ってるんだよ」と言葉にする。あるいは、宿題を終わらせる姿を一緒に見守ったり、自分が何かに集中している姿を見せたりすることも、十分なメッセージになります。
怒らなくても、伝わることって本当にたくさんあるんです。
苦手なことは、責めるより「代わりの手段」を
誰にでも、うまくできないこと、苦手なことがあります。何度言っても変わらない行動は、その人にとって難しいことなのかもしれません。
そんなときは、「どうすればそれがやりやすくなるかな?」と一緒に考えるスタンスが大切です。代わりのやり方、本人に合った工夫、支え方を見つけていく方が、長い目で見て関係性も深まります。
自分に優しくすることが、怒りのコントロールにつながる
怒りが強く出てしまう背景には、実は「自分の心に余裕がない状態」があります。
がんばりすぎていませんか? ちゃんとしなきゃ、いい母親でいなきゃ、迷惑をかけちゃいけない……。そんな“べき思考”に縛られていると、知らないうちに心が張りつめてしまい、些細なことに反応しやすくなるんです。
だからこそ、自分の気持ちにも優しくなってください。 疲れたときは休む。誰かに頼る。1人になる時間をつくる。好きなことをする。そんな「心の栄養」が、怒りをやわらげてくれます。
怒りにふりまわされず、自分の本当の声を聴くために
怒りは、自分を守るためのサインでもあります。「もう無理」「わかってほしい」「傷ついた」という気持ちに気づいてあげること。それが、怒りにふりまわされない第一歩です。
カウンセリングでは、怒りの背景にある気持ちを一緒に探し、「自分らしい伝え方」「人との関わり方」を見つけるお手伝いをしています。
怒りを我慢する必要はありません。 でも、その怒りをどう扱うかで、人間関係も、自分自身も、もっと優しく変えていくことができます。
あなたの中にある、本当の声を聴いてあげましょう。